シルクロード病とはベーチェット病のことです。
世界的に見て、地中海沿岸諸国(トルコ、ギリシャ、イタリア、フランス、チュニジア、モロッコ、エジプト)、中近東(サウジアラビア、イラン、イスラエル、レバノンなど)、東アジア(中国、モンゴル、韓国、台湾、日本など)といった北緯30度から北緯45度付近のシルクロード沿いに多発する疾患であることから、シルクロード病と呼ばれています。
ベーチェット病は、トルコの医師フルス・ベーチェット(1889〜1948)によって1937年に最初の報告がなされたことから彼の名前を冠して呼ばれています。
しかし、ベーチェット病らしき病気は、紀元前5世紀に古代ギリシャの医聖ヒポクラテス(紀元前460年頃〜紀元前370年頃)の書物に既に記載されています。
ベーチェット病は、ほぼ100%の確率で口腔内粘膜にアフタ性潰瘍が出来、陰部(男性では陰茎から陰嚢、女性では外陰部から膣内)にも潰瘍が出現します。
ベーチェット病の発症年齢は10代後半から30代前半が多いです。
日本人患者はおよそ20000人弱です。
ベーチェット病は、それだけでベーチェット病とわかる検査がなく、主に症状から診断します。
病因は不明ですが、近年の研究によりHLA-B51やA26との関連性や、そのほかの疾患感受性遺伝子(病気の発症と関連性の高い遺伝子)も報告されていることから、遺伝的な関与が原因の一部にありそうですが、環境因子やストレス、または口腔内細菌の関与も指摘されています。
目、口、皮膚、外陰部の四主症状すべてがそろったものを完全型ベーチェット病と呼び、主症状のうち3つまたは主症状2つ+副症状のうち2つまたは眼病変を含む主症状2つと副症状2つを示したものを不全型ベーチェット病と言います。
粘膜や皮膚の病変には副腎皮質ステロイドの外用薬を使って治療します。
難治性網膜ぶどう膜炎に対しては生物学的製剤であるTNFα阻害薬(インフリキシマブ)で良好な治療成績が報告されています。
切手は1986年チュニジア発行の「リウマチの日記念切手」でベーチェットの肖像画が描かれています。

切手は1986年チュニジア発行の「眼科会議記念切手」でベーチェットの肖像画が描かれています。
