モーパッサンは梅毒トレポネーマに脳を侵された結果、精神障害を起こし自殺を図って、それがさらに体を弱らせる、この悪循環に陥り最終的には1892年自殺未遂を起こして、パリ16区パッシーの精神病院に収容され1893年にその病院で死亡しています。
1877年ころから先天的梅毒による神経系の異常を自覚するようになった言われています。
一説には1870年頃に感染したとも言われています。
モーパッサンの代表作は、『女の一生(原題・Une vie)』で当時トルストイにも高く評価されています。
1884年に発表した短編『二十九号の寝台』には、梅毒患者の美女の娼婦イルマが普仏戦争でフランスを占領したロシア兵に仇を討つために治療もしないで梅毒を感染させていき、やがては自分も梅毒に倒れることが描かれています。
彼が『ル・オルラ』を執筆した1880年頃には、第三期の進行性麻痺を伴った神経梅毒症状を呈し始めていたようです。
しかし、『ル・オルラ』には梅毒に関する記載は全くありません。
モーパッサンは、わが国においても20世紀初期の日本の作家にも影響を与えた作家です。