2025年04月22日

身近に存在する危険な植物−番外編1.コバイケソウ−

2025年4月新潟県佐渡市で山中から採取した有毒植物"コバイケソウ"を食べた70代女性が嘔吐・下痢症状を伴う食中毒になったと報道されました。 

オオバギボウシ(別名ウルイ)は、春先の若芽や葉柄は山菜として食べられます。

食べるのは若葉の丸まったものや葉柄で、葉柄だけは大きくなっても食べられます。

しかし地上に芽を出した若芽は、毒草の"コバイケイソウ"と似ているので注意が必要です。

"コバイケソウ"は、有毒で全草にプロトベラトリン等のアルカロイド系の毒成分を有します。

誤食すると嘔吐や痙攣を起こし、血管拡張から血圧降下を経て、重篤な場合死に至ることがあります。

若芽は山菜のオオバギボウシやノカンゾウの若芽に似ており、誤食による食中毒が毎年のように発生しているため注意が必要です。

特に新芽の時期は、食用山菜のウルイやギョウジャニンニクと外見が似ており、誤食による食中毒事故が頻発しています。誤食すると、嘔吐、下痢、手足のしびれ、めまいなどの症状が現れる可能性があります。

加熱しても毒が分解されないため注意が必要です

野山に出て山菜を狩りをしても種類の判定ができない植物は「採らない」「食べない」「売らない」「人にあげない」ことが大切です。



切手は2019年日本発行の「天然記念物シリーズ 第4集」の中の一枚で、オオバギボウシが描かれています。

オオバギボウシ.日本.2019.jpg


切手は2011年日本発行の「Pスタンプ 白山」の中に収められた一枚で、コバイケソウが描かれています。


コバイケイソウ.2011..jpg


切手は2016年日本発行の「乗鞍岳と高山植物フレーム切手」の中に収められた一枚で、コバイケソウが描かれています。


コバイケイソウ.日本.jpg
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2025年03月22日

身近に存在する危険な植物−7.ヒガンバナ−

ヒガンバナ(彼岸花)は、全草有毒な多年生の球根性植物です。

※全草有毒とは植物のすべての部分に毒性物質が含まれていることを言います※

日本全土に咲き乱れ、呼び名も数多くあります。

少し例を上げてみますと、曼珠沙華・地獄花・死人花・毒花・幽霊花・捨子花等などです。

ヒガンバナは、花全体にリコリンやガラタミンなど約20種の有毒アルカロイドをもっています。

特に球根に毒が多く含まれ、毒抜きせずに食すと、30分以内に激しい下痢や嘔吐に見舞われ、ひどい場合は呼吸不全や痙攣、中枢神経麻痺といった深刻な症状を引き起こします。

特に鱗茎にアルカロイド(リコリン、ガランタミン、セキサニン、ホモリコリン等)を多く含む有毒植物で、経口摂取すると吐き気や下痢を起こし、ひどい場合には中枢神経の麻痺を起こして死に至ることもあります。

ヒガンバナは、草姿がノビルやアサツキに似ている植物であることから、誤って食べて体調を崩すことがよくあります。

誤って食べた場合、特別な解毒剤などはないため、催吐薬や下剤を投与しての対症療法しか治療法はありません。

ヒガンバナは、球根1gあたりに約0.15mgのリコリン、0.019gのガラタミンを含んでいます。

要するにリコリンの致死量は10gなので、球根を1個食べても重篤な症状に至ることは基本的に先ず無いわけです。

精製された彼岸花の球根は、"石蒜(セキサン)"や"彼岸花根"の名で漢方薬として利用されています。

消炎作用や利尿作用があり、茎を刻んで搾取した汁で患部を流すと効果があるほか、根をすりつぶしたものを張り薬にすると、むくみやあかぎれ、関節痛を改善する効果があるとされています。

薬として使用するには、毒の量を調節できる正しい知識と的確な処置が必要なので、専門家でない限り家庭薬としての素人利用はしないのが安全です。

また、最近では彼岸花に含まれるガランタミンが記憶機能を回復させるとして、アルツハイマー型認知症の薬に利用されつつあります。

彼岸花の毒は経口摂取(口から食べる)することで影響がでますので、ただ触るだけでは問題はありません。




切手は2000年台湾発行の「台湾の毒草切手」の中の一枚で、ヒガンバナが描かれています。



彼岸花.台湾.2000.jpg


切手は2009年日本発行の「ふるさと切手旅の風景シリーズ 第6集」で奈良・明日香の橘寺と咲き乱れるヒガンバナが描かれています。


ふるさと切手.ヒガンバナjpg.jpg


切手は1992年韓国発行の「植物切手」でヒガンバナが描かれています。


ヒガンバナ.韓国.jpg
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2024年10月12日

梅毒に悩んだ著名人−28.番外編その6.梅毒スピロヘータは、抗生物質に対する耐性を持たない??!!−

梅毒は、ペニシリンの登場によって治療可能な感染症となりました。

感染後、抗生物質を投与することにより完治します。

多くの病原体は、抗生物質に対して、耐性を持つようになり、耐性を持つものが増加しますと抗生物質が効かなくなってきます。

現代医学に置いても、「多剤耐性菌」と呼ばれる多くの種類の抗生物質に対して耐性をもつ病原体の出現により、抗生物質が全く効き目がなくなる状況下にあります。

しかし、梅毒スピロヘータは、抗生物質に対する耐性を持つことは無く、ほとんどすべての抗生物質が効きます。

このように薬剤耐性を持たない病原体は非常に稀です。

抗生物質が著明な効果を示しても、梅毒が根絶されないのは、この感染症が性によって感染するからです。

古来より性によって感染する感染症は、何一つ根絶されていません。



切手は2020年モザンビーク発行の「フレミング小型シート」で、切手には実験室の椅子に座るフレミング、シート面には実験中のフレミングとシャーレに生えた青カビとノーベル賞のメダルが描かれています。


フレミング.モザンビーク.2020.jpg


切手は2023年ジブチ発行の「ペニシリン発見95年記念小型シート」で、シート面には実験中のフレミング、切手上部なら下に彼がペニシリンを発見したセント・メアリー病院・青カビとペニシリンの化学式・ペニシリン発見95年のロゴとイグチ科のキノコとともにフレミングの肖像が描かれています。



ペニシリン発見95年.ジブチ.2023.jpg

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2024年10月05日

梅毒に悩んだ著名人−27.番外編その6.梅毒の治療法ーグアヤック療法−

16世紀ヨーロッパに蔓延していた梅毒の治療法は、西インド諸島原産でハマビシ科の常緑喬木の癒瘡木(ユウボクソウ)(グアヤック樹)を煎じて、空腹時に服用させる"グアヤック療法"か行われていました。

当時、南ドイツ・アウグスブルクの豪商フッガー家が癒瘡木(ユウボクソウ)輸入販売を独占し巨万の富を得ていました。

当然"グアヤック療法"は、梅毒治療には何の効果もなく、フッガー家が巨万の利益を得ただけでした。

その後、フッガー家は癒瘡木の販売をやめて、水銀の独占販売を行うようになり、水銀による危険な梅毒治療が20世紀まで延々と続けられることになります。


切手は1959年ドイツ発行の「ヤーコブ・フッガー生誕500年記念切手」で彼の横顔が描かれています。

※ヤーコブ・フッガー(ヤーコブ2世)(1459〜1525)は、彼の代にフッガー家は膨大な資産を有するようになる※


フッガー2世.ドイツ.1959.jpg

切手は1978年バージン諸島発行の「木の花の切手」で、癒瘡木が描かれています。


ユウボクソウ.1978.バージン諸島.jpg
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2024年09月28日

梅毒に悩んだ著名人−26.番外編その5.野口英世と梅毒トレポネーマの純培養について−

梅毒を引き起こす梅毒トレポネーマの存在が知られてから、多くの研究者が試験管内での梅毒トレポネーマの純培養を試みてきましたが、全て失敗に終わり、試験管内での培養は未だ成功していません。

試験管内での培養が出来ないことから、梅毒トレポネーマの培養はウサギの睾丸に接種して、増殖される方法が今でも取られています。

野口英世(1876〜1928)は、米国ロックフェラー医学研究所において、明治44年(1911年)8月、「梅毒トレポネーマの純粋培養に成功」と発表しました。

このことで野口の名前は世界の医学界に知られることになりましたが、多くの研究者達が野口の梅毒トレポネーマの純粋培養の追試実験を試みましたが、誰もが成功することはありませんでした。

梅毒トレポネーマの培地による純粋培養については追試に成功した研究者がいないことから、当時の培地での完全な純粋培養は非常に困難であることが明らかになったため、残念なことに純粋培養の成功は現代ではほぼ否定されています。

我々日本人としては、彼が梅毒トレポネーマの純培養に成功したと思いたいですねぇ!!

切手は1993年ガイアナ発行の「20世紀の科学者と医学者9面切手」の内の1枚で、野口の肖像と顕微鏡及び顕微鏡で見た細菌と細胞が描かれています。


野口.ガイアナ.1993.jpg
posted by 血液の鉄人 at 08:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 医学切手 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする